まず話すべきことは、昨日の暮れ時に遡る。
きみたち冒険者は山奥の、リケーキという村近くのゴブリンの群を退治した。
魔物退治という大義を果たしたのである。
仕事を終えた頃には、もう暗くなり始めていた。
それほど急ぎ帰る必要もない。
きみたちは宿を借り、身体を休めた。
───そして、誰もが寝静まった真夜中。
轟音が、村に響いた。
何かと宿から飛び出し、見回せば──そこには、かたかたと音を立てながら震える祠。
それは、過去に退治された二匹の人狼が封じられているとされる祠であった。
音が消えた頃、祠に刻まれた人狼のシンボルが消えていた。
朝、万一の為呼び止められた冒険者たちと、一部村人の居るリケーキに漂うものは、
不安と人狼の魂であった………。